銅メダルごときに捧げる乾杯

Bocci2004-08-25

長渕、完全燃唱
オールナイトコンサートに7万5000人
 シンガー・ソングライター長渕剛(47)が21日夜から22日朝にかけて、出身地・鹿児島県桜島町赤水地区の原野で、「桜島オールナイトコンサート」を敢行した。長渕本人が「生死をかけて挑む!!」と決意表明した計6時間45分の“激唱”に、会場を埋め尽くした7万5000人のファンが熱狂。精神と肉体の限界に挑んだ長渕は全42曲を歌いきり、桜島の歴史に新たな1ページを刻み込んだ。 (山崎美穂)

故郷・桜島をバックに熱く燃えた6時間45分
 アテネに負けじと、桜島も熱く燃えた!! ハーレーダビッドソンにまたがり、会場後方からド派手に現れた長渕は、天をつんざくような大歓声に迎えられ、「勇気の花」でオープニング。早くもエンジン全開で、「ここが僕の生まれた場所です。ようこそ鹿児島へ!! こんなイベント世界中どこへ行ってもないよ。オレがくたばるか、オマエらがくたばるかどっちかだーっ!!」と叫び、「泣いてチンピラ」「とんぼ」などヒット曲を続けた。

 7曲目の「逆流」になると、「もうオレ、涙出てきちゃった。一歩前を信じて生きてきたから、今ここにいるんだね」と歌詞の一部を引用しながら、感極まる場面も。

 休憩を挟んで第二部の終盤、午前3時40分ごろ、遠く離れた五輪発祥の地で銅メダルで有終の美を飾った男子400メートルメドレーリレーの快挙を祝福するかのように、ピアノ伴奏だけで「乾杯」を熱唱。美しい旋律は、いつしか7万5000人の大合唱となり、南国の夜空に響き渡った。

 夜も明けた第三部の終盤、いよいよクライマックスへ。このライブのテーマ曲とも言える「桜島」の演奏が始まると、徐々に鬼気迫る表情に変化していく長渕。「ウォー、見て、桜島見て!!」と眼前にそびえる桜島を指さしながら、魂の叫びにも似た“激唱”を聴かせた。一瞬の沈黙の後、心地よい汗をしたたらせて「桜島はプロミスランド、僕と君たちの約束の地だ!! 青い空、白い雲、青い海、きれいな心…本当に心から感謝します」と声を振り絞ると、その瞳には涙があふれた。

 最後の曲「キャプテン・オブ・ザ・シップ」まで声をからすことなく、“完全燃唱”。この日、共有した唯一無二の時間は、ファンにとっても長渕にとっても永久(とわ)に残る大きな宝物になった